解説:業務コミュニケーションをSC化する

 (本記事は、図解 Advent Calendar 2020 12/10のために執筆しました)

ストラクチャードコミュニケーションでは、情報を構造化し図解で表現するために、以下の手順を用意しています。(詳しくは、構造化と視覚化の手順(Step)を参照)

  1. 情報を収集する
  2. 情報を分類し話題にまとめる
  3. 話題の関連性から構造を選択する
  4. 情報を構造に従い図解で表現する
この手順において、情報を収集するとき、話題に分類するときに、フレームワークを利用すると効率的に行えます。フレームワークとは、物事を考えたりまとめたりする場合に共通して用いることのできる「枠組み」です。


最近では、フレームワークを視覚表現したものをキャンバスと呼び、ビジネスに利用できるキャンバスをいくつか探すことができます。このキャンバスは、ストラクチャードコミュニケーションの手順では、構造化と視覚化の部分と言えます。

ストラクチャードコミュニケーションでは、皆さん一人ひとりの業務コミュニケーションに、フレームワークとキャンバスを用意し使うことで、効率化・標準化することを提案します。そしてこの、日常の業務コミュニケーションで行われる情報の分類を、独自のフレームワークとしてまとめ、そしてフレームワークの構成要素の関係性をもとに構造化し、キャンバスとして見やすく分かりやすく視覚化することをSC(ストラクチャードコミュニケーション)化と呼びます。

ストラクチャードコミュニケーション協会の会員が作成したキャンバスを紹介します。

人材育成キャンバス

企業内の人材育成を考える場合のフレームワークとして、誰に対して=Who、何のスキルを=What、どのように育成する=Howという三つの要素が重要とのことです。これら三つの要素の関係を、三角のテントになぞらえたキャンバスで視覚化します。

  • 正面の三角形は、組織の階層構造を表現し、対象者を議論する時に用います。
  • 側面の四角形は、組織の階層とも連携し、育成スキルを議論する時に用います。
  • 底面の四角形は、組織全体の基盤となる育成方法を議論する時に用います。


この三つの要素視点で、企業の人材育成の現状をヒアリングすると、手のついていない領域や、現状の対策だけでは不十分な領域がみいだせ、全体感を持った対策を検討できるとのことです。

ワンオンワンキャンバス

上司と部下が1対1で定期的に対話をするワンオンワンの導入が、企業内で進んでいます。ワンオンワンの実施に当たり、上司によるバラツキを無くしかつ効果的な対話を進めるツールとして、ワンオンワンキャンバスを開発しました。

ワンオンワンキャンバスは、大きく二種類のキャンバスから構成されます。

  • 上司によるバラツキを無くすためにワンオンワンの手順を標準化するキャンバス
  • 効果的な対話を進めるために対話の内容に合わせて図解する汎用キャンバス


これらのキャンバスを利用することで、ワンオンワンの対話の内容が見える化されます。
これにより、次の効果があるそうです。
  • 対話の内容を上司と部下の双方で確認しながら進められるため、相互の信頼関係性が高まった。
  • 対話の内容をその場で描き終わったら写真に撮れるため、後でまとめる時間が不要になった。
  • 写真を見返すことで、過去のワンオンワンとの関連を考慮した対話が行える。
皆さんも、あなた自身の業務コミュニケーションを、SC化してみませんか。